コンプライアンスの重要性と研修でやるべきこと

コンプライアンスという言葉は、今では多くのメディアで聞くようになりましたし、会社勤めをしている方であれば、日常的に話題に上る言葉になっているかもしれません。
この言葉は日本語で「法令遵守」と訳されますが、単に法律や命令を守るだけでなく、倫理観や社会規範など幅広い分野を含んでいます。
この考え方は日本企業に大きな影響を与えたといえます。

コンプライアンスに基づく企業のあり方

どんな企業であっても、また企業内の上司など自分より上の立場の人であっても、人間である限り間違いをするものです。
今までであれば、会社の命令は絶対で守るべきものでしたが、コンプライアンスという概念が出てきたことで、会社の利益よりも社会道徳的に正しい行動をすることの大切さや、倫理観を重視した経済活動を企業自ら目指すべきという考え方が広まりました。
そして、企業がこの点で違反した場合は、損害賠償に発展したり、企業イメージが低下して売り上げが減少したり、社会での信頼を失ったりと大きな影響を受けるようになっています。
具体的な違反例としてよく知られているのは、粉飾決算により上場廃止に追い込まれたり、産地や性能を偽装することで企業の良いイメージが失墜し、消費者からの信頼を失ったりということがあります。
また、リコール隠しが発覚した結果、信頼を失うとともに多額の修理費用などが発生し、倒産に追い込まれるケースもありました。
さらなる違反例としては、談合や脱税、インサイダー取引・個人情報流出・横領・賃金不払い・出資法違反などが挙げられます。

コンプライアンスの研修プログラム

コンプライアンスを重視し取り組みのためには、コンプライアンス研修が必要とされています。
そのため、今では様々な研修プログラムが出されています。
一口に法令遵守といっても、範囲が広いですし、心の奥底にある考え方を正すのは難しいことなので、内容はどの企業でも当てはまりやすく、優先して取り組むべき分野に絞って行われることが多いようです。

ハラスメント

その代表的なものの一つが、ハラスメントです。
企業内は閉鎖空間となり、ハラスメントが発生しやすい状況が作られやすいといえます。
実際、セクハラやパワハラという言葉が浸透しているくらい、発生率が高い案件です。
そして、ハラスメントを受けている側も、自分が被害者である認識を持ちづらくさせている一面もあります。
ですが、ハラスメントが起こるような職場は、人々の心を疲弊させ、生産性も下がってしまいます。
そのため、ハラスメントに関する知識を共有することで、職場にいるすべての人がチェック者となってハラスメントを減らすことで、働きやすい環境を整えることができます。

情報セキュリティ

もう一つの分野が、情報セキュリティです。
今では業務でパソコンやインターネットを使用することが当たり前になり、個人的にもSNS等を通じて簡単に情報発信ができるようになりました。
それに伴って悪意のあるウイルスやマルウェアなどが多く出現し、企業活動で重要な情報が盗まれるということが多発しています。
特に個人情報が流出してしまうと、メディアでも大きく報道され、社会の体質について厳しい声が寄せられることも少なくありません。
それで、働く人それぞれが情報を守る意識を持ち、無意識で行ってしまいがちな軽率な行動を避けるように教育することが大切になります。

コンプライアンスに関する研修方法

では、コンプライアンスに関する研修はどのように行えるでしょうか。
よく用いられる方法が、オンライン形式のものです。
インターネット環境があれば、時間や場所に拘束されることなく、自分のペースで学ぶことができます。
ただし、オンラインでは一方通行の講義形式で行われるため、ロールプレイングのような実践的な学習をすることは難しくなります。
その点、派遣講師を招いて行うと、自社の課題に沿った形での内容とできるため有用です。
また、社外で行われるセミナーなどに参加するのも良い方法です。
同じ会社の方だけでなく、別の会社の方も同席するため、考え方の点で幅が広がり、良い刺激をもらうことができます。

コンプライアンス研修を行うことで期待できる効果

実際にコンプライアンス研修を行うことでどんな効果が期待できるのでしょうか。
まずは、一企業人としてではなく、消費者や取引先企業の方の目線で考え、自社の企業価値を上げる取り組みを積極的に行えることです。
自分が自社の商品サービスを受ける消費者や取引先だったら、どんな取り組みを期待するかという視点で物事を考えるため、自分に与えられている業務の行い方や日ごろの行動の仕方などにも良い影響を与える可能性があります。
また、自分の仕事にやりがいやプライドを持つこともできるに違いありません。
自分が行っている仕事が社会に背く行いをしていると自尊心を失ってしまいますが、法令遵守することで社会的な利益に貢献していると考えられるなら、自分の仕事に誇りを持つことができます。

まとめ

そして、企業側も、コンプライアンス研修を通じて社員のマインドを変化させることで、社会的責任を果たし、潜在的なリスクを回避することができます。